家屋損傷など国費補償 避難区域内除染で環境省方針
福島原発ニュース
福島民報 2012/02/05
http://www.minpo.jp/view.php?pageId=4147&blockId=9931109&newsMode=article環境省は4日までに、東京電力福島第一原発事故の避難区域内で実施する除染作業により家屋、不動産などに損傷が生じた場合、国費で補償する方針を固めた。細野豪志環境相兼原発事故担当相が同日、福島市で開かれた「原子力災害からの福島復興再生協議会」で明らかにした。国の実施する除染作業は区域内の約6万世帯から同意を得ることが前提条件のため、補償を確約することで除染を早急に進める狙いがある。
環境省は補償の範囲として、高圧洗浄による家屋の傷みや庭木の伐採、芝生の剥ぎ取り、庭の表土除去で生じた財産の損失を想定している。事業所の場合、駐車場のアスファルトの削り取りなども対象となる見込みで、損傷の内容ごとの算定基準方針を3月末までに定める考えだ。
除染作業の開始前に予定している避難区域の住民への説明会で、補償についての考え方を示す。政府の平成24年度当初予算案に盛り込まれた除染費用の約3721億円から財源を確保する方針。県内市町村が進めている除染では、家屋や庭が傷むことを懸念する住民の反対で作業が難航するケースが出ている。環境省は先月末、11市町村にまたがる避難区域内で進める除染作業の工程表を公表したが、区域内の約6万世帯から1軒ごとに敷地内の立ち入りや作業実施の同意を得る必要がある。除染による私有財産の価値減少への補償制度を設けなければ、協議が進まず作業を開始することのできないケースが続出すると判断した。
細野氏は協議会終了後、記者団に対し「除染と補償は一体で考えなくてはいけない。さまざまなケースがあるが、しっかり基準を決めたい」と述べた。
国が直轄事業として行う除染の工程表では、新設する「避難指示解除準備」、「居住制限」の両区域については平成25年度内に除染作業を終了する。「帰還困難区域」は当面、除染のモデル事業を実施していくとしている。