避難者調査 7割にPTSDの可能性
福島原発ニュース
2012年9月14日
原発事故の影響で福島県から埼玉県に避難している人たちに体や心の状態などを聞く調査を行ったところ、PTSD=心的外傷後ストレス障害の可能性がある人が7割近くに上ることが分かりました。
専門家は「失業者対策など生活への不安を取り除く対策を早急に行う必要がある」と訴えています。
調査結果は14日開かれた日本自殺予防学会で報告されました。
調査は大学の研究者と弁護士などで作るチームがことし3月から4月にかけて行い、原発事故の影響で福島県から埼玉県に避難している490人が回答しました。
それによりますと、嫌な出来事を繰り返し思い出すフラッシュバックや睡眠障害などが起こり、PTSD=心的外傷後ストレス障害の可能性がある人が7割近くに上りました。
また、心の状態を調べる調査では、8割の人が抑うつや不安、無気力などの項目で高いストレスを示す結果が出たということです。
生活面では震災前、月収が平均32万円だったのが14万8000円に減少していたほか、仕事がない人が61%、原発に対する賠償や補償問題の心配事があると答えた人が85%に上りました。
調査に当たった専門家は、厳しい生活の状況が心的なストレスに深く結びついていると分析しています。
報告をした早稲田大学人間科学学術院の辻内琢也准教授は「失業や補償の問題などさまざまな問題が重なると、心理的に追い込まれ、自殺のリスクが高くなる。最悪の事態を防ぐためにも、失業者対策など生活への不安を取り除く対策を早急に行う必要がある」と話しています。
NHK NEWS WEB
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120914/k10015027561000.html