原発の新安全基準 骨子案を提示
福島原発ニュース
2013年1月21日
東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえた原発の新たな安全基準の骨子案が示され、放射性物質の大量放出を防ぐための設備や、建屋に近づけなくなった場合でも、離れた場所から原子炉に注水できる施設の設置などが盛り込まれました。
対策の中には大規模な工事が必要になるものもあり、ことし7月以降に実施される運転再開の審査をする段階で、どの対策の完了を求めるのかが今後の焦点となります。
原子力規制委員会は、福島第一原発で起きたような深刻な事故を防ぐための対策を電力会社に法律で義務づけることにしていて、21日に開かれた専門家会議に、これまでの議論を踏まえた新たな安全基準の骨子案を示しました。
それによりますと、福島の事故の際に格納容器の圧力を下げる「ベント」が思うようにできずに放射性物質の大量放出につながったことから、放射性物質の放出を抑えながら容器内の圧力を下げる「フィルターベント」と呼ばれる設備の設置を求めるとしています。
また、航空機の落下などによって建屋が大規模に壊れた場合でも原子炉に注水するための設備や、原子炉の状態を監視できる「第二制御室」を建屋から離れた場所に設けることなどが盛り込まれました。これらの対策の中には、大規模な改良工事が必要になるものもありますが、どの対策を優先するのかや、設置までに猶予期間を認めるのかなどの整理については、具体的な議論は行われていません。
骨子案は今月中に取りまとめられ、国民から意見を聞いたうえで、ことし7月までに基準を決めることになりますが、新たな安全基準は7月以降に実施される原発の運転再開の審査にも適用されることから、審査の段階で、どの対策の完了を求めるのかが今後の焦点となります。