東日本大震災:NPOが有機農法で綿花栽培 農業復興と雇用創出 仮設住民や障害者ら人形加工−−いわき /福島
福島原発ニュース
毎日新聞 2013年04月30日
http://mainichi.jp/area/fukushima/news/20130430ddlk07040129000c.html
◇今夏にはTシャツ商品化も
有機農法の綿花栽培を通じ地域再生を目指す「フクシマ・オーガニックコットンプロジェクト」が活動2年目に入った。いわき市のNPO法人などが震災や原発事故、風評被害のダメージを受けた農業(農地)復興と雇用創出を掲げて進めている。市内で今月22日開いたセミナーで「小学生や被災者が土から衣類まで1〜2年かけて製品化させるプロジェクトを通じ、世界が注目する福島復興の旗印に」と参加を呼びかけた。
事業のきっかけは、オーガニックコットン業界の草分けで、毎日ファッション大賞に輝いた「アバンティ」(東京)社長の渡辺智恵子さん(61)と、衣料品リサイクル活動を続け、震災後はボランティアセンター運営などを行ういわき市のNPO「ザ・ピープル」理事長の吉田恵美子さん(56)との出会いという。
NPOのメンバーは昨春、市内などの遊休農地1・5ヘクタールに在来種を植え、猛暑で悪戦苦闘しながら冬にかけて300キロを収穫。延べ1500人のボランティアも応援に駆けつけた。収穫した綿は、仮設住宅の住民や障害者の手で人形「コットンベイブ」に加工され、今夏にはTシャツの商品化も目指す。また今春からは市内の小学校の校庭や仮設住宅、広野町の農地でも栽培を計画し、農地は大幅に増える見込みだ。
22日のセミナーで、渡辺さんは、かつて会津木綿で日本の繊維産業をけん引した県の実績などを紹介し、「福島の子どもたちの土と古里を大切にする心を培い、循環・自給型社会を目指したい」と呼びかけた。
同市小名浜下神白の農地40アールで地元小学生と有機米やサツマイモを栽培していたが、震災後に断念した伊藤忠さん(70)、登志子さん(72)夫妻は「アトピー性皮膚炎に悩む孫の健康や農地除染にもつながる。もう一度農業にチャレンジしたい」と話した。
栽培などの問い合わせは、ザ・ピープル(電話0246・52・2511)。【中尾卓英】