エネルギー計画 「原発利用」を明確に示せ
福島原発ニュース
産経ニュース 2013年7月26日
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130726/plc13072603260004-n2.htm
政府の電力政策の中期的な指針となる「エネルギー基本計画」の策定論議が本格化してきた。焦点は、原子力発電をどう位置付けるかである。
安価で安定的な電力供給は、国民生活や産業にとって不可欠だ。年内にもまとめる計画では、民主党政権が決めた「原発ゼロ」と決別し、原発を有力な電源として活用する方針を明示しなければならない。安倍晋三政権には原発利用に正面から取り組む姿勢が問われている。
計画は、日本の将来的なエネルギー需給を見据えながら、今後の最適な電源構成を示すものだ。それに合わせて新規の電源開発が進められる。
計画の見直しは、平成23年3月の東京電力福島第1原発事故を機に始まった。しかし、当時の民主党政権が「2030年代に原発稼働ゼロを目指す」と決めたことで経済界などから批判が相次ぎ、議論が中断していた。
昨年末の政権交代で見直し作業は再開されたが、同じ誤りを繰り返してはならない。
すでに安倍首相は「原発ゼロ」の見直しを表明している。資源小国の日本としては、この方針を計画に明記する必要がある。原発の有効活用を今後も継続する姿勢を示すのは当然だ。
ただ、基本計画では具体的な電源別のシェアなどは示されない見通しという。原発再稼働の動向が不透明なためだというが、現在の電力事情を考えれば不満が残る。経済団体などには、原子力規制委員会による再稼働の審査作業を急ぐよう求める声が強い。
国内の原発のほとんどが稼働を停止したままで、電力不足は解消のメドが立っていない。夏場を迎えて電力需要は拡大しており、台風などに伴う発電所の故障で突発的な停電の懸念もある。
原発に代わり、火力発電が主要電源として使われているが、液化天然ガス(LNG)など輸入による燃料費の負担増は年3兆円を超える。今年上半期の貿易赤字は円安も加わって過去最大となった。電気料金の値上げは、浮揚し始めた日本経済には逆風だ。
太陽光や風力など再生可能エネルギーの利用も課題だが、天候などに発電量が左右されるほか、コスト高という問題を抱えている。地域産業として育成する必要はあるが、過大な期待は禁物だ。現実的な政策を求めたい。