東京五輪、決め手は首相のスピーチ 原発問題を払拭 国際公約で重責も
福島原発ニュース
夕刊フジ 2013年9月9日
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20130909/plt1309091210001-n1.htm
安倍晋三首相の最終プレゼンテーションでの英語スピーチと質疑応答が、東京五輪招致の最大のネックとされていた東京電力福島第1原発の汚染水問題への懸念を払拭した。海外メディアが絶賛したスピーチとは-。
「安倍首相の演説が2020年東京五輪決定への決め手となった」
ブエノスアイレス発のロイター通信は7日(日本時間8日)、国際オリンピック委員会(IOC)総会のニュースで、こう伝えた。
同通信は「国家指導者のなめらかな演説は、原発問題の不安解消に寄与した」と評価。米CNNも、安倍首相がIOC総会に乗り込み、東京勝利に貢献したと報じた。
安倍首相は、東京五輪を日本再生の起爆剤ととらえ、「東京が選ばれれば、オリンピック・ムーブメントに新たな息吹を吹き込む」といったスピーチをかなり前から準備していた。
ただ、IOC総会前に汚染水問題が大きく報じられたため、「原発はコントロールされている」「私たちは決して東京にダメージを与えない」という部分を付け加えた。
さらに、質疑応答で「汚染水の影響は原発の港湾内0・3平方キロ内で完全にブロックしている」「近海のモニタリングでは、数値は最大でもWHO(世界保健機関)の飲料水の水質ガイドラインの500分の1」「健康問題は現在も将来も問題ない」などと数値を上げて説明した。
招致成功後、安倍首相は「(汚染水問題を加えるのを)決めたのは寸前。私の強い意志と実態を分かりやすい言葉で話し、質問でさらに説明しようと考えた。自信があるから(解決できると)申し上げた」と語った。
五輪を引き寄せたスピーチだが、国際社会に公約した格好となり、安倍首相は実現に向け重い責任を担うことになった。
五輪問題に詳しいジャーナリストの西村幸祐氏は「英語力が就任直後に比べて格段に良くなっている。これは付け焼き刃の練習ではなく、猛烈な外交スケジュールの中で培われたものだろう。安倍首相の人間性がにじみ出て、心が籠っていた。IOC委員は『安倍晋三』という人物を信頼したため、汚染水問題への懸念も払拭された」と分析している。