放射性ストロンチウムの除去剤 インパクトが開発
福島原発ニュース
日本経済新聞 2012年4月13日
http://www.nikkei.com/news/local/article/g=96958A9C93819890E3E0E2E39D8DE3E0E2E6E0E2E3E09E90E2E2E2E2
廃液処理剤や消臭剤などを製造・販売するインパクト(石川県加賀市、玉村まきの社長)は水などに含まれる放射性ストロンチウムを吸着除去できる除去剤を開発した。吸着率は98%超。東京電力福島第1原子力発電所事故に伴う汚染水や土壌の除染に利用できるとみている。ストロンチウムはセシウムに比べて効率よく除去する手法の確立が遅れている。主に除染に携わる企業などに販売する計画だ。
開発した吸着剤は粉末状。吸着能力がある鉱石のゼオライトに、天然の鉱物を加えて作った。この天然鉱物の配合比率を調整したことで、放射性ストロンチウムの吸着率は98%を超えた。天然のゼオライトを使うことで従来の他社の吸収剤よりも低コストで製造可能だという。販売価格は未定だが、製造コストが安いため従来品よりも安く提供できる。吸着剤の生産は他社に委託する。
大型水槽などにためた汚染水に吸着剤を入れてかき混ぜた後、自社開発の別の凝集剤を加えれば、放射性ストロンチウムを吸着させて沈殿させることができる。福島第1原発の付近で操業する工場などでも利用可能だ。
放射性ストロンチウムは放射性セシウムとともに、原発の燃料に使うウランの核分裂反応によって生成される。ストロンチウムは化学的性質がカルシウムと似ているため、体内に摂取されると骨に蓄積され、放射線を出し続けるとされている。そのため、深刻な内部被曝(ひばく)をする可能性が指摘されている。
東京電力は福島第1原発が稼働している汚染水の浄化装置に、放射性ストロンチウムを除去する装置を追加すると発表。ストロンチウムを除去する動きが活発になっている。
インパクトは09年設立。「共沸効果」と呼ばれる原理を使い、空気中の臭い成分と同レベルの臭いを融合させて消臭させる消臭剤などを開発・販売している。共沸効果を放射性物質の除去にも応用している。放射性セシウムを吸着除去する吸着剤を開発済みで、石川県内の金属加工メーカーと組んで土壌からセシウムを吸着除去させる装置も開発した。