野生サルに線量計、山林放射線データ収集…福島大
福島原発ニュース
読売新聞 2012年5月6日
http://www.yomiuri.co.jp/feature/eq2011/news/etc/20120506-OYT8T00149.htm?from=osusume
東京電力福島第一原発事故による山林の放射能汚染の状況を把握するため、福島大の高橋隆行副学長(ロボット工学)の研究グループは、野生のニホンザルに首輪形の測定器を付けて放射線量を測る実験を今月中にも始める。
放射線量の分布を明らかにし、除染作業に役立てるのが狙いだ。
測定器は重さ350グラムで、線量計と全地球測位システム(GPS)を搭載。サルの首に付けて山林に放し、放射線量と位置情報を収集する。現在、山林の放射線量は航空機で上空から測定しているが、サルに「代行」してもらうことで、山深い地区でも測定が可能になると期待している。
高橋副学長は、群れをつくって一定の縄張りの中で行動するサルの習性に着目。サルに線量計を装着すれば、一定エリアの放射線量の分布を把握できると考えた。群れからはぐれにくい雌ザルを捕獲して装着し、測定器は信号を送ると自動的に外れる仕組みになっており、2週間後に測定器を回収してデータを分析する。
実験は、4月16日に警戒区域が解除され、比較的放射線量が高い南相馬市南部で行う予定。測定器を付けたサルを順次増やしていき、広範囲にわたる放射線量マップの作成を目指す。
高橋副学長は「山林の放射性セシウムは雨水の流れなどによって移動しやすく、汚染状況がつかみにくい。線量分布を知ることで野生動物の保護にも役立てたい」と話している。