ふるさとを選ぶ:’12衆院選・声は届いたか/中 原発、争点にならず /福島
福島原発ニュース
◇県内自民、再稼働賛成触れず
「原発は争点にならなかった」。民主・増子輝彦県連代表(参院議員)はこう分析した。福島第1原発事故は、避難や被ばくだけでなく、人口流出や風評被害など間接的な影響も含め、県民皆を今も苦しめ続けている。なぜ争点になり得なかったのか。【衆院選取材班】
原発に対し、民主・自民の両党の立場は一見、真逆に見える。民主はマニフェストで「30年代原発ゼロ」を掲げた。これに対し、自民は政権公約では態度を保留したものの、安倍晋三総裁は再稼働に賛成の立場を表明している。
ところが、民主は今夏、関西電力大飯原発3、4号機(福井県)を再稼働させ、電源開発の大間原発(青森県)建設再開を容認した。対する自民は、県連公約に「全原発廃炉」を掲げた。ただし、県内原発に限っての話。候補者も個人として「再稼働の前に事故の責任を国が取るべきだ」(1区・亀岡偉民氏)、「脱原発の英知を結集させる」(4区・菅家一郎氏)などと訴え、党の推進方針は覆い隠した。結果的に、県内で両党の原発に対する姿勢の違いが際立つことはなかった。
第三極の日本維新の会は、石原慎太郎代表と橋下徹代表代行の方向性の違いから原発についての方針はぶれ続けた。未来は「卒原発」を明確にしたが、実現に向けた具体的手順は書かれず仕舞い。両党ともに非民主・非自民の受け皿になり得なかった。
県議会は昨年10月に福島第1、第2原発廃炉の請願を「県民の総意」として採択したが、国の方針はまだ、決まっていない。自民県連は17日、「ふくしま復興本部(仮称)」を設置。県内原発全基廃炉を盛り込んだ県内版公約実現に向け党本部へ働きかけるとした。
だが、大飯原発でも、民主の県選出国会議員(当時)6人を含む衆参119議員は野田佳彦首相に再考を申し入れていた。方針が変わらなかったのは米国の圧力や使用済み核燃料を受け入れる青森県の事情などが原因で、廃炉の困難さを示しただけだった。
さらに、安倍政権誕生を前に、全国の原発では、経済界を中心に再稼働への期待感が高まる。県内でも、周辺自治体はそれぞれ原発に代わる新しい雇用や産業振興を目指すが容易ではない。
毎日jp 地方版
http://mainichi.jp/area/fukushima/news/20121219ddlk07010137000c.html