県内スキー場 活気戻る
福島原発ニュース
読売新聞 2013年2月25日
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/fukushima/news/20130224-OYT8T00704.htm
東京電力福島第一原発事故の風評被害に苦しむ県内のスキー場に、にぎわいが戻り始めている。県内24スキー場の1月末現在のリフト利用回数は535万回で、震災前の666万回には及ばないものの、前年より3万回増えた。各スキー場は「放射線への不安が薄らいできた」とみているが、修学旅行やスキー教室の利用は依然として低迷。県などは教育現場へのPRに力を入れている。
22~24日にフリースタイルスキー・モーグルのワールドカップ(W杯)が3年ぶりに開かれた「リステルスキーファンタジア」(猪苗代町)。国内外の一流選手が集まり、イメージアップ効果の期待も高まる。
同スキー場は、ゲレンデの放射線量をホームページで公開したり、オフシーズンに「ゲレンデ逆走マラソン」を開催したりして、安全性をアピールしてきた。1月末現在のリフト利用回数は19万9000回で、前年同期比の2割増。週末は震災前と同じくらいの客が訪れるようになった。佐藤勇一企画広報部支配人は「利用者の不安感が薄らいできたのではないか」と話す。
家族4人で埼玉県川口市から来た男性(38)は、昨年は妻の反対で長野県のスキー場へ行ったが、今年は放射線量を調べて説得。「子供の頃から通っていたので、また来られて良かった。放射線は心配していない」と話した。
「猪苗代スキー場」(同)は今季、テレビCMなどで積極的なPRを展開。今季の会員数は、前年の2倍の1万8000人になった。東北索道協会によると、福島、宮城、岩手の3県のうち、リフト利用回数が前年度を上回っているのは福島のみという。
■修学旅行は依然低調
ただ、修学旅行やスキー教室といった学校の団体客は低迷したまま。「リステル」でも、震災前は年間約5000人だったが、今季はほぼゼロという。
昨冬、スキー教室の開催場所を猪苗代町から栃木県内に変更した宇都宮市の中学校の校長は、「放射性物質に対する保護者の懸念もあり、安全面を考慮した」と話す。
県などは、学校や旅行会社を対象に、観光地の安全性をPRするキャラバンを実施。特に、スキー教室を開催する学校が多い九州を重点的に回り、ゲレンデの放射線量に問題がないことなどを訴えている。