評論家・木元教子 真実を風評が駆逐して被害あり
福島原発ニュース
産経ニュース 2013年3月18日
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130318/dst13031803130003-n3.htm
これらは、すべて揣摩臆測(しまおくそく)による「風評」を、安易に信じた結果とも言えるけれど、その「風評」を十分な検証もせずに、あるいは検証したものの時間切れになって報道してしまった活字・放送媒体にも大きな責任があるはずだ。
残念ながら、そんな報道姿勢のせいもあって、原発事故や放射能・放射線について、科学的事実に基づく正確な知識と関連する情報が国民に伝わってこなかったのではないかと思う。それらの情報はよく理解されていたのだろうか。
科学技術文明の失敗超えて
かつて、原子力資料情報室の中心的存在であった、故高木仁三郎氏とともに、科学技術庁(当時)主催の「ご意見を聞く会」で、パネリストを務めたことがある。
高木氏とは、いわば呉越同舟の関係にあったが、彼の考え方と、彼が何をどう主張するかに興味があった。氏の略歴には、日本原子力事業に入社した後、東大原子核研究所助手などを経て、原子力資料情報室の世話人になったとあった。その会合で討論した後に、高木氏が主張したことはこうだ。
「科学技術は生活を豊かにしたが、原子力のような巨大科学技術の場では、誤りが大きな事故を起こし得る。しかし、誤りの許されない社会も窮屈だ。ならば、誤ってもよいほどの『小さな科学技術』を志向する立場でありたい」