エピソード基に県教委、道徳教育の教材を製作 「命の尊さ」考える /福島
福島原発ニュース
毎日新聞 2013年03月25日
http://mainichi.jp/area/fukushima/news/20130325ddlk07040057000c.html
震災と福島第1原発事故を経験した児童・生徒に改めて命の尊さを考えてもらおうと、県教委は道徳教育の教材「生きぬく・いのち」を製作した。大災害の中で起こったエピソードを基に教員らが取材、編集した教材で、吉田尚・県教育庁義務教育課長は「震災を体験した子どもたちは、命の大切や尊さに共感できる部分は多いと思う。教材を活用し、困難にも負けない強い心を培ってほしい」と話している。
教材はA4判約150ページで、教員らでつくる教材作成委員会が約1年間かけて完成させた。学習指導要領で年間35時間の道徳の時間が設けられている小中学校のほか、高校でもホームルームなどで活用できるようにと、小・中・高の3編に分かれている。
小学校編に収録した「きぼうの水族館」は、津波被害にあったいわき市の水族館「アクアマリンふくしま」で、生き物を助けるため対応に追われた飼育員を取材。千葉県の水族館に引き取られた妊娠中のゴマフアザラシが避難先で出産し、「きぼう」と名付けられた赤ちゃんが、11年7月に再オープンしたアクアマリンに戻ってくるまでのエピソードを盛り込んだ。中学校編では、震災から2カ月後の避難所で、食事係になった中学生が避難生活で疲れ果てた避難者に温かい食事で食欲を出してもらおうと、手を赤くしながらおにぎりを握り、感謝の言葉をかけられた時の喜びを描いた「塩むすび」などを掲載した。
教材は、公立小中高校計800校に配布するほか、来月には県教委のホームページにも全文を掲載する。教材製作は3カ年計画で、13年度には「感謝」や「思いやり」、14年度は「郷土愛」などをテーマにする。【蓬田正志】