福島の復興支援本格化 長崎大・川内村拠点
福島原発ニュース
読売新聞 2013年4月24日
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/nagasaki/news/20130423-OYT8T01358.htm
長崎大学が20日、福島県川内村に開設した「長崎大学・川内村復興推進拠点(サテライト)」スタッフの保健師・折田真紀子さん(25)が早速、村民の家を訪ね歩き、現地での健康相談活動をスタートさせた。折田さんは「お会いできた人は少なく、まだまだこれから。丁寧に話に耳を傾けていきたい」と話している。(遠藤信葉)
サテライトは、東京電力福島第一原子力発電所の事故で住民が避難した川内村の復興を支援するのが目的。折田さんは、放射線被曝(ひばく)医療を専門とする保健師で長崎大大学院生。1年をめどに常駐し、家庭訪問などを通じて、村民の健康相談や放射線教育などに取り組む。
昨年5月から1か月間、村に滞在して健康相談に当たり、田畑のことや家族のことなど、放射線への不安の声を聞いた。「村に戻りたいと思う人の力になりたい」との思いが大きくなり、サテライトへの派遣の打診を快諾した。
昨年の滞在中に折田さんを支えたのは、宿泊先の小松屋旅館の井出茂さん(57)ら村の人たちの温かさだった。「川内村での父」を公言する井出さんは、「不安もあるはずなのに、また戻ってくる決断をしてくれたことがうれしい」と歓迎する。
人口約3000人の村は、原発事故で全村避難を余儀なくされた。その後、遠藤雄幸村長が帰村宣言を出し、同県郡山市に避難していた村役場も元の場所で再開した。現在、人口は約1400人にまで回復したが、50歳未満の帰村率は20%ほど。戻らない人の多くは、放射線の影響への不安を理由に挙げる。村の井出寿一復興対策課長(59)は「不安解消には、折田さんの力が不可欠」と頼りにする。
「全てが手探りですが、多くの人に出会い、村の活動に参加しながら、継続的に付き合っていきたい」。つぼみがほころび始めた桜の下で、折田さんは、力強く語った。