避難指示区域の土地買い上げ方針「春にも」 復興現地本部
福島原発ニュース
朝日新聞 2012年01月26日
http://mytown.asahi.com/fukushima/news.php?k_id=07000001201250012
●避難区域見直しで 商工会「完全賠償を」
東日本大震災復興対策本部の吉田泉・福島現地対策本部長は25日、須賀川市で開かれた県内商工会の復興総決起集会で、避難指示区域の土地を政府が買い上げる枠組みが今春にも示されるとの見通しを示した。同集会は、原子力発電所事故の賠償で「完全実施」を目指すなどとする決議案を了承し、要望書として吉田氏ら政府側に渡した。
吉田氏は集会に集まった89商工会に加盟する中小企業や商店経営者ら1060人を前に、「昨年の秋には執行できないくらいの大きな復興予算を組んだ。いまは福島のためだけの特別法をつくっている」と説明。予算や制度、除染の手順が整いつつあるとの認識を示したうえで、「春ごろになると思うが、あとは双葉郡を中心とするが土地の買い上げ、借り上げが残っている」と述べた。
避難区域が見直される4月に向け、放射線量が高い地域の買い上げ方法などが、政府内で検討されているという。
避難区域の買い上げについては、5千万円までは特別控除が適用されると、すでに来年度税制改正案に盛り込まれている。
一方、総決起集会では、県商工会連合会から被災会員(企業)の現況報告があった。避難区域にあった14商工会の会員数は計3381社で、昨年12月20日現在、23%にあたる794社が県外に避難した。
事業の再開は仮設店舗などでの営業なども含め1065事業者で、全体の31%にとどまる。このうち65社は県外での再開だ。
東京電力への賠償については1月13日現在、商工会会員以外も含めた県内中小企業の約1万4千件が申請したが、賠償に至ったのは半分以下の約5900件。同連合会は「多くの企業がまだ申請していない」とも説明した。
中小・小規模企業などの復興に向けた決議では、(1)原子力損害賠償の完全実施(2)事故の完全収束と除染対策(3)風評被害の早期払拭(ふっしょく)への支援強化などが必要だ、と明記した。(大月規義)