温泉熱で地熱発電
福島原発ニュース
朝日新聞
http://mytown.asahi.com/fukushima/news.php?k_id=07000001209230004
●土湯の協同組合がNPOと会社設立
東日本大震災後、客足が落ちたままの福島市郊外の土湯温泉街が源泉の熱を利用した地熱発電に乗り出す。電気を売った利益で自然エネルギーの体験教室を開き、活性化に向けた計画を練っている。2014年までの発電開始をめざし、10月に観光業者らが会社を設立する。
土湯温泉は大震災と東京電力福島第一原発事故の影響で客が減り、16軒あった旅館のうち6軒が休、廃業に追い込まれた。10年度には約40万人だった利用客は11年度は約20万人に半減。今年度も好転していない。
旅館などでつくる温泉協同組合が事態打開策として昨秋からあたためてきたのが地熱発電計画だ。今年7月に自然エネルギーの固定価格買い取り制度が始まったことも追い風に、組合やNPO法人が出資し会社をつくる。
「バイナリー発電」と呼ばれる小規模な地熱発電で、地下110メートルから噴き上がる130~150度の源泉の熱で、沸点が低いアンモニアなどを気化させて、タービンを回す。発電量は1時間あたり200キロワット時で、一般家庭の40軒分の電気をまかなえるという。
現在の温泉設備をそのまま使えるため、初期投資は3億円程度に抑えられ、源泉への影響も少ない。川の砂防ダムを使った小水力発電もあわせて計画している。
発電量は年間7千万円に相当する。組合などは、この利益を元手に、自然エネルギーの体験教室や、廃業した旅館を使った低価格の宿泊プランといったアイデアを練っている。
土湯温泉観光協会の池田和也事務局長は「だれも助けてはくれないし、自分たちで立ち上がらなければ。土湯に少しでも活気を取り戻したい」と期待を膨らませている。(野瀬輝彦)