加須の避難所で弁当有料化 町ごと避難の双葉町 長引く避難、深まる溝
福島原発ニュース
産経ニュース 2012.9.7
http://sankei.jp.msn.com/region/news/120907/stm12090711010002-n1.htm
避難所で1日3回無料配布されていた弁当。9月からは食券制になり、有料化されている=8月29日、加須市の旧騎西高校
東京電力の福島第1原発事故で役場機能ごと埼玉県加須市の旧騎西高校に避難している福島県双葉町では9月から、避難所での1日3食の弁当を有料化した。仮設住宅などで自立生活を送る町民が抱く不公平感を解消したい町の意向が背景にあるが、避難所では自炊のための環境が整っておらず、「何のための避難所か」との批判の声も。1年5カ月と長期に及ぶ避難生活の中、町民間の対立は深まる一方だ。(市岡豊大)
「避難所の意味ない」
「有料化するというのはおかしい」「自炊できる環境をまず整えるべきだ」
8月21日、旧騎西高校で行われた双葉町の井戸川克隆町長と避難町民との話し合いで、町が示した弁当有料化の方針に、町民の不満が爆発した。
これまでは、埼玉県が一時的に費用負担する形で弁当業者が1日3食を無料で提供してきたが、9月からは1食350~400円の食券制に変わった。3食計1100円、病人向けの食事は計1250円という。
町は話し合い後、鍋や包丁など調理器具一式を全世帯に配布した。また、今後は4階にある調理室と、足の悪い高齢者に配慮して校舎と別棟の1階にある調理場も開放する方向で検討している。
しかし、校舎の電気容量不足など、自炊環境が整ったとは言い難い。90歳を超える高齢の親族を介護しながら避難生活を送る主婦、渡部三重子さん(64)は「年金暮らしにとって月3万3千円は痛い。自立できないから避難所にいるのに、これでは意味がない」と怒りをあらわにする。
自立への一歩
現在、避難所の町民は約210人。大半が病弱な高齢者とその家族で、多くは避難所を「出たくても出られない」のが実情だ。