破損燃料、新たに4体 廃炉工程影響必至
福島原発ニュース
河北新報社より転載 2013年11月22日
福島第1原発の使用済み核燃料プールに東日本大震災前に破損した核燃料が80体あった問題で、東京電力は21日、新たに4体の破損燃料をプールに保管していたことを明らかにした。計84体となり、廃炉工程に影響が出る可能性がある。
東電によると、4体は第1原発5、6号機に各1体、第2原発2号機に2体。いずれも震災前に破損し、各原子炉建屋内の燃料プールで長期間保管している。同社は詳しい破損時期、状況を調べている。
破損燃料の中で廃炉作業の進む1~4号機に計80体あり、このうち18日に燃料取り出しの始まった4号機に3体保管されている。80体の大半がひび割れで、他は小さな穴が空いている。1973年に初めて破損が発覚したという。
国内で原発が稼働して以来、破損燃料をプールから取り出して移送した実績はない。4号機の取り出しでも破損燃料は作業が難しく、後回しにされている。廃炉工程では1~3号機からも取り出す予定で、作業が難航し、工程通りに進まなくなる可能性がある。
破損燃料からは放射性希ガスのキセノン133(半減期5.25日)やクリプトン85(10.8年)が放出され、通常燃料と別に保管されている。
元原子炉設計者で芝浦工大非常勤講師の後藤政志さんは「ひび割れた燃料は取り出しの際、強い放射線を出し、作業を阻む可能性がある。廃炉工程に与える影響は大きい」と指摘している。
[廃炉工程]第1~3期に分かれ、4号機プールからの燃料取り出し開始で第2期に入った。1~4号機プールにある計3106体を2020年ごろまでに取り出す。第3期は20年度以降で1~3号機で溶融した燃料を取り出す。廃炉完了は40~50年と見込まれる。