東日本大震災の孤児281人 遺児家庭の7割、自宅損壊
福島原発ニュース
日本経済新聞 2012年2月29日
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819695E0EAE2E7968DE0EBE2E0E0E2E3E09180E2E2E2E2
東日本大震災で両親とも亡くした震災孤児が281人に上ることが、あしなが育英会の調査で分かった。保護者に仕事がない遺児家庭は3割で、母子家庭では5割だった。遺児家庭の7割では自宅も損壊しているなどの厳しい実態も浮かび上がった。
あしなが育英会は、震災で保護者が死亡、行方不明または重度の後遺障害を負った子供に一時金を支給。昨年4月から今月13日までに送金した2005人(1206世帯)の申請書類に記入された情報をまとめた。
遺児の中で両親ともにいなくなった孤児は13%で281人。父子家庭は34%、母子家庭は51%だった。父母以外の保護者はおじ・おば5%、祖父母5%、兄姉1%など。18歳以下は1699人。
就学状況は、未就学14%、小学生28%、中学生以上57%。阪神大震災の状況に比べ、小学生以下の比率が6ポイント高く、逆に中学生以上は4ポイント低いといい、大人になるまでの時間が長くなっている。
高校生以上の家庭のみを対象にした調査では、厳しい就労状況も明らかになった。母子家庭で仕事に就いていない母親は47%に上り、仕事があっても正規雇用の割合は24%だった。保護者全体で職に就いていない割合は30%だった。
遺児は自宅も被災しているケースが71%と多く、50%が震災後に引っ越していた。特に原発事故のあった福島県に住んでいた場合は78%と高かった。同会は「生活の基盤となる自宅を失い、新しい環境で精神的な負担も重い可能性がある」と指摘している。
家族の死を受け入れたくない気持ちなどから、一時金申請に踏み切れていない家庭もあり、震災遺児の数はさらに増える可能性があるという。