世代間で異なるストレス 心のケア必要 原発事故、住民の心理的課題分析
福島原発ニュース
産経ニュース 2013.6.4 08:07
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130604/bdy13060408080002-n1.htm
東京電力福島第1原発事故から2年が過ぎた福島県で、日本トラウマティック・ストレス学会(会長=前田正治・久留米大准教授)などが住民の心理的課題を分析した結果、働く人や高齢者、育児中の母親ら世代ごとに抱えているストレスが異なることが分かった。
同学会と製薬企業のファイザー(東京都渋谷区)が都内で開催した報告会で明らかにした。
前田さんは「災害の衝撃が記憶から遠ざかる今こそ、現状や将来を悲観した自殺が増加しやすく、心のケアが大切だ」と話している。
同学会のメンバーで、福島県南相馬市の精神科病院「雲雀ケ丘病院」の堀有伸副院長によると、復興の中心を担う勤労世代は、原発事故に伴う避難で人口が減少し、残っている人たちは事故前よりも業務が増えた。
その一方で、避難した家族と離れて暮らすケースが多く、肉体的、精神的な負担に加え、金銭面でも負担が大きい。
高齢世代は土地への愛着が強く、避難する子供や孫の世代と温度差があり、寂しく感じるが、離れて暮らす家族を責められず、葛藤を感じていることが多い。
育児中の母親は、放射線が子供に及ぼす影響への不安が強い。避難せずに市内で子育てしていると、周囲から非難されるケースもあるなどストレスにさらされている。
堀さんは「あまりにも大きくて複雑な課題が一人一人にのしかかっている」と指摘。ストレスが長期化すると、精神障害になるリスクが高まるため、悩みなどを話しやすい雰囲気づくりなど、地域でさまざまな立場の人が連携した長期的な取り組みが必要という。