熱血!与良政談:ふくしまキッズも3年目=与良正男
福島原発ニュース
毎日新聞 2013年03月06日
http://mainichi.jp/opinion/news/20130306k0000e070169000c.html
東日本大震災と福島第1原発の事故直後から始まった「ふくしまキッズ」という取り組みについては既にこの欄で2回書いた。
福島県の子供たちを夏、冬、春の長い休みの期間、全国各地で受け入れ、山や川で遊んだり、勉強したりしてもらう民間のプロジェクト。その活動報告と、間もなく始まる春休みの計画の説明を兼ねた会合が先週末、福島で開かれたので出かけてきた。
これまでに5回。参加した子供は延べ約1800人になる。参加費(1人3万円)だけでは当然足りないから、寄付でまかなっている。寄付の総額は1億8000万円余にも上る。
当初は北海道が中心だった受け入れ先も広がった。今度の春休みは長崎県五島列島の北部、小値賀(おぢか)島も名乗りを上げた。子供たちは島の人たちの家に宿泊。現地の小学生らとの交流会も計画されている。
面倒を見るのは地元民間団体や、大学生を中心に全国から集まるボランティアだけではない。兵庫県新温泉町では町役場の事業として受け入れることになった。過疎化で若い人たちが減り、長く途絶えていた盆踊りを、福島の子供たちが来訪したのを機に復活させた町もある。町おこしや村おこしにもつながるかもしれないと思う。
もちろん、きれいごとだけでは済まされない問題もある。キッズの活動に限らず、現実には寄付する人は次第に減っている。福島では行政側と住民との対立だけでなく、親の間でも「放射線はもう大丈夫」と強調する人と、「そんなことはない」という人との悲しい対立がさらに深まっているという。
活動にかかわってきた能條歩・北海道教育大教授の調査によれば、幼児期に外で遊べずに1〜2年過ごすと、それが当たり前のようになって、外遊びの楽しさを知らずに育ってしまう心配があるそうだ。そんな環境の中で子供たちは、何の責任もないのに日々ストレスを感じながら暮らしている。
でも、自然に触れ、親元を離れて、長期間、知らない人たちと共同生活するのは、福島に限らず、すべての子供たちが体験した方がいいプロジェクトではないか−−。報告会では、そんな話に発展し、キッズの支援委員でもある作家の田口ランディさんが「ふくしまキッズを発展させて、日本キッズにしようよ」と言った。
その通りだなあ。何度もいうけれど支援は継続が大事。だから私も応援を続ける。(論説委員)